【STORY 湧川颯斗】より高いレベルの〝司令塔〟を求めて歩む高卒プロの道

滋賀レイクスターズ

日本では異例の高卒ルーキー、そして、194㎝の大型ポイントガードとして将来の日本代表入りを期待されているのが湧川颯斗だ。滋賀レイクスでの4カ月半の特別指定選手を経て2023年夏にはU19日本代表としてU19ワールドカップに出場。日本初のベスト8入りという快挙を果たしている。B1昇格を狙う滋賀レイクスでも、彼の活躍が大きなカギとなる。

小学6年で約172㎝と大柄だった湧川は、中学まで「内も外も、なんでもやる」選手だったという。故郷広島を離れて進学した福岡大学附属大濠高校ではオフェンス力をさらに開花させ、フォワードとしてゴールを量産。高校2年のウインターカップではチームの全国制覇に大きく貢献し、大会ベスト5に選ばれる。
だが、世代屈指のウイングプレーヤーという評価が確立しつつあったこの大会後、湧川にバスケット人生を変える出来事が起こる。いや正確には自ら起こした。それがポイントガードへのコンバートだ。

「日本代表をめざす上で、自分と同じサイズのフォワードはたくさんいる。でも、190㎝を超すポイントガードは日本にはほとんどいない。それ以前から実はポイントガードをやりたいと思っていましたし、先生(片峯聡太監督)からも『代表に入るならそこを狙っていくしかない』と言われたこともあって転向しました」

ポジションが変わっただけではなく、湧川の気持ちも大きく変化した。実は、そのコンバートまでは将来について実業団に入って働きながらバスケットを続けようと考えていたそうだ。その意識はグッとプロに引き寄せられた。
「高校2年のウインターカップ優勝を踏まえて高校3年でポイントガードに転向し、バスケットの違う楽しさを見つけた感覚がありました。フォワードの頃はリングをまっすぐに見ていればいい感じでしたが、ポイントガードはコート全体を見て、残り時間も計算しないといけないですし、役割がかなり変わりました。ポイントガードにはまた別の楽しさがあるなと。もっと高いレベルでバスケットがしたいと思うようになりました」

日本では大学で身体を造ってからプロ入りする選手が主流。だが、湧川は高卒で直接プロ入りする道を選んだ。目標である日本代表入りに向けて「もっと高いレベル」を模索した結果、プロの道が最善だと感じたからだ。
「高3夏にプロチームからオファーが来ていると先生から聞きました。最後まで大学進学と悩みましたが、大学に行っている4年間の期間を。日本代表選手もたくさんいるプロのコートで戦ったらどこまで自分は成長できるだろうかと考えました。両親には反対されましたが、高卒でプロの道を選びました」

滋賀レイクスにはウインターカップ直後、高校在学中に特別指定選手として加入した。デビュー戦となった23年1月の秋田ノーザンハピネッツ戦では14分53秒に出場し、7得点、1リバウンド、2スティール、1ブロックという上々のスタッツを残している。終盤戦では相手チームのエースプレーヤーを止める重要な役割も任されるようになった。 
「自分が小・中・高でエースをやっていた頃、自分が止められたことでチームの雰囲気が悪くなった経験があります。逆に自分がエースを止めれば相手チームの雰囲気は悪くなるし、自分のチームには勢いが出る。そういう部分にやりがいも感じます。でも、単純に相手のエースをマークしていると、いろんな技を仕掛けられるので、自分のオフェンス面のスキルアップにも活かせる。それが楽しいですね」

湧川の理想のスタイルは超攻撃なポイントガード。今シーズンの目標を「1試合平均二桁得点」と定めているのも理想に近づくためだ。昨シーズンと同じく“エースキラー”として守備面での貢献も求められるだろうが、その一つ一つのプレーが彼の理想へ、そして日本代表へとつながっていく。

湧川颯斗
HAYATO WAKUGAWA


背番号:34
ポジション:PG
身長/体重:194cm/84kg
生年月日:2004年5月2日 
出身地:広島県広島市

経歴/Career

福岡大学附属大濠高
2022- 滋賀レイクス
※2022-23は特別指定選手

日本代表歴

FIBA U18アジア選手権大会2022
FIBA U19ワールドカップ2023
日本代表ディベロップメントキャンプ招集(2023)

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