【STORY ブロック・モータム】ヨーロッパで目覚めた208cmのストレッチ4

滋賀レイクスターズ

スペインやフランスといったヨーロッパのバスケットボール先進国でキャリアを積み上げてきたブロック・モータム。昨シーズンはレバンガ北海道でB1個人得点9位、3Pシュート成功率4位(1試合平均42.3%)と潜在能力の高さを見せつけた。オーストラリア代表としてオリンピックにも出場したパワーフォワードは、滋賀レイクスの新しいエースとして期待されている。

滋賀レイクスには原毅人代表取締役社長兼GMとの縁でやってきた。2人はワシントン州立大学で選手とマネージャーという立場で共に戦った間柄。「リバウンドと3Pシュート」をテーマに掲げる原GMにとって、208㎝の長身と確実性のあるアウトサイドシュートを持つモータムは絶対に獲得したい戦力だった。何度も話を重ね、モータムは複数のオファーの中からB2の滋賀レイクスを選んだ。悩んだ末に「古くからの友人に力を貸したい」と思ったと話す。

モータムのようにアウトサイドを得意とするビッグマンの存在は、近年のバスケ戦術では主流となる「ストレッチ4」戦術において不可欠な選手だ。この戦術は本来はインサイドで構えるパワーフォワードをあえて外に置き、マークマンを連れ出して中にスペースを作る戦術。メリットはガード陣がドライブでアタックしやすくなること、デメリットはパワーフォワードが外に出ることでオフェンスリバウンドが奪いにくくなること。この戦術で外に出るパワーフォワードのことを指して「ストレッチ4」と呼ぶこともある。つまり、モータムのような選手のことだ。


モータムも最初からストレッチ4だったわけではない。「若い頃は身体も動いていたし、常にアタックしてダンクを決める選手」だったと話す。ストレッチ4として覚醒したのは2015-17シーズンに在籍したBCジャルギリス(リトアニア)の頃だという。
「当時のヘッドコーチはリトアニアのレジェンド的な元ポイントガードの方で、引き出しの多い彼からいろいろなことを学ばせてもらいました。特に判断力の重要性を教わり、バスケの考え方が180度変わりました。例えば、私を活かすプレーコールがあるとします。それを遂行できない場合は違うプレーに切り替えるのが一般的ですが、そのヘッドコーチはどんな状況でもプレーコールを成立させることを求めました。ゴールまでのプレーを逆算し、成功させるための選択肢をいくつか考え、相手の出方によって瞬時にプレーを判断していく。私がそれまでやってきたバスケットとは真逆の理論でした」

モータムのプレーを見ると、単純に外でパスを待つのではなく、中でパスをもらうフェイクを入れてから外に出てパスを受けるなど“ワンクッション”が入ることがある。チーム戦術をより高い確率で成功させるための工夫であり、相手の出方を見た上での状況判断だ。昨シーズンに3Pシュート成功率42.3%という高い数字を残せたのは、単にシュートが上手いだけではなく、シュートまでの動きにもあるようだ。

モータムは「2016年のリオデジャネイロオリンピックに出場し、その後、長くヨーロッパでプレーを続けることができたのはリトアニアでの2シーズンがあったから」だと話す。

今年10月16日で33歳になるベテランは、ストレッチ4としての豊かな経験値を活かし、滋賀レイクスをB1リーグ昇格へと導くつもりだ。

ブロック・モータム
BROCK MOTUM



背番号:12
ポジション:PF
身長/体重:208cm/111kg
生年月日:1990年10月16日 
出身地:オーストラリア

経歴

2009-13 ワシントン州立大 (アメリカ/NCAA)
2013-14 Granarolo Bologna (イタリア/Seria A)
2014-15 Adelaide 36ers (オーストラリア/NBL)
2015-17 B.C.Zalgiris Kaunas (リトアニア/LKL)
2017-19 Anadolu Efes Istanbul (トルコ/BSL)
2019-20 Valencia Basket (スペイン/Liga ACB)
2020-21 Galatasaray Odeabank Istanbul (トルコ/BSL)
       Nanterre 92 (フランス/Pro A)
2021-22 AS Monaco Basket (フランス/Pro A)
2022-23 レバンガ北海道 (日本/B1)

∟2022-23 B1個人得点9位(17.7PTS)、3P成功率4位(42.3%)

2023- 滋賀レイクス

代表歴

2014-16 オーストラリア代表

-【All-Asian U18 Championships】Best Foward、1st Team

A代表(2011、15、17-23)

-FIBA World Cup 2019 in China
-FIBA World Cup 2023 Asian Qualifiers
-SouthEast Asian Games 2022
-FIBA Asia Cup 2022

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