ゲームプログラム MAJESTY 10/28・29 vs 川崎ブレイブサンダース

大阪エヴェッサ

川崎の脅威になるのは、帰化選手のファジーカス




川崎ブレイブサンダースは2016年のBリーグ発足以降、これまでに地区優勝を3度果たしているリーグ内で屈指の強豪。その前身は実業団チームの東芝で、創設は1950年と70年以上の歴史を重ねる。実業団時代もリーグ戦で4度、天皇杯は川崎になってからも含めて5度制している、まさに古豪だ。

今シーズンは開幕戦こそ落としたものの、その後に今週水曜開催の琉球ゴールデンキングス戦まで白星を積み重ねて6連勝中。Bリーグになってから未だ果たせていない年間優勝に向けて、順調なスタートを切ったといえる。

川崎は今シーズンを迎えるにあたって日本人の#0藤井祐眞、#7篠山竜青、帰化選手の#22ニック・ファジーカス、外国籍の#35ジョーダン・ヒースら主要な選手はほぼ残留。中地区優勝を飾った、昨シーズンの戦力を維持している。

そんな川崎で最大級の警戒が必要なのは、身長207cmでゴール下を主戦場とする“ビッグマン”ファジーカスだ。2018年4月に日本国籍を取得するとすぐに日本代表に招集され、翌年に中国で開催されたワールドカップは全5試合に出場した。今年で38歳になり、すでに今シーズン限りでの現役引退を発表しているが、琉球戦ではともにチームハイの14得点・14リバウンドをあげて勝利に貢献。とても今シーズンを最後にコートを去る選手とは思えない活躍ぶりだ。

今シーズンここまでの1試合平均得点は17.4で、同リバウンドは9.4。いずれも全盛期よりやや数字を落としているが、ゴール下で脅威的な存在であることは間違いない。しかも彼の最大の利点は、帰化選手であること。Bリーグのルールでは外国籍選手2名に加えて帰化選手、あるいはアジア特別枠の選手が同時にコートに立つことが認められている。これを利してともに208cmのヒースと#25ロスコ・アレンら、高さのある外国籍選手ふたりと、ファジーカスを同時起用するビッグラインナップが編成できる。これが、川崎の大きなアドバンテージになるのだ。


竹内で高さに対抗しながら、PG陣のコントロール力もカギ




迎え撃つ今シーズンのエヴェッサには、帰化選手もアジア特別枠の選手も在籍しない。外国移籍選手は#21ショーン・ロングこそ208cmと川崎のビッグマンらとサイズは伍すが、#32アンジェロ・カロイアロは203cm、#34イアン・ハマーは201cmと高さではやや劣る。

しかし、嘆く必要はない。エヴェッサには日本人ビッグマン、#15竹内譲次がいる。竹内の身長207cmは、両チームの日本人選手で唯一の200cm越え。しかも彼には高さに加えて、日の丸を背負って長く戦い続けてきた経験がある。

今シーズンの開幕戦だった富山グラウジーズ戦でマティアス・フィッシャー ヘッドコーチは、高さのある相手に対して竹内をスターティングメンバーで起用。開幕節の2試合とも、30分近くコートに立たせた。背番号15はそれに応えてGAME1では要所で3Pを決め、GAME2では9得点をあげるなど、開幕2連勝に大いに貢献。サイズがある川崎を相手に、竹内の働きぶりは重要なカギになる。

ここまで高さに注目したが今節は両チームとも、ポイントガード陣がいかにビッグマンを生かしたゲームコントロールをするかも、勝敗を左右する少なくない要因になるだろう。川崎の篠山は東京五輪直前まで日本代表の主力で、藤井も代表級の実力者。35歳の篠山は経験が豊富で、藤井は31歳とこれからが円熟期ながら、泥臭い仕事を厭わないハッスルプレーヤー。両者ともファジーカスらと長くプレーしてきただけに、連携面が完成されている点には注意を払わねばならない。

一方でエヴェッサの司令塔も35歳の#8多嶋朝飛、32歳の#35鈴木達也にはプロの現場で長らく生き抜いてきた実績がある。多嶋、鈴木は今シーズンここまでの7試合で、相手が自陣のインサイドにエヴェッサの選手が進入したのを警戒し、ディフェンスが収縮した隙を見逃さず3Pを射貫くなど、試合の組み立て以外にもスコアで大いに貢献してきている。

ビッグマンが居並ぶラインナップではペイントエリア付近に選手が集まりがちだが、裏を返せばアウトサイドにはスペースがあるということ。エヴェッサは竹内を含めたサイズのある選手でインサイドを攻めつつ、相手の守りがインサイドに寄ってくれば、外から長距離シュートが得意な#7西川貴之、#14橋本拓哉、#20合田怜、#22飯尾文哉らの攻撃も有効的。川崎の高さを攻略するため、そのような場面で経験豊かな多嶋、鈴木のポイントガードは最善の選択をしてチームを勝利に導く。
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