【データコラムvol.5】日本代表PG対決!テーブス海と河村勇輝をデータで比較!

滋賀レイクスターズ

滋賀レイクスでは2022-23シーズン、データスタジアム株式会社のアナリストによる、データに着目をしたコラム連載企画を実施しています。

3月の7試合は4勝3敗と勝ち越し、直近では3連勝中と調子を上げている滋賀レイクス。しかし、勝負の4月のスタートは1日,2日には中地区優勝争いを繰り広げている横浜ビー・コルセアーズとの対戦を控えている。横浜BCと言えば、やはりPGの河村勇輝選手に注目が集まるが、レイクスにもテーブス海選手という注目の若手PGがいる。2人は共に若くして日本代表入りを果たしており、日本バスケ界の未来を担っていく存在だ。

今週末はこの2人の対決が実現。今回のコラムでは試合前に、両選手を様々なデータで比較し、次世代を担う2人の司令塔に、それぞれどんな特徴があるのかを探っていく。

※スタッツは3月27日時点での数字となります。

主要スタッツ比較

両者の主要スタッツを比較すると、得点面では河村選手の数字の高さが際立っている。平均19.4点はリーダーズ6位につける驚異的な数字。得点のリーダーズはトップ10に外国籍選手が揃っているが、ここに1人日本人ガードの河村選手がランクインしているのは驚異的だ。2P・3P・フリースローの成功率も申し分ない。


一方、テーブス選手の平均得点12.0点も決して低い数字ではなく、登録ポジションがPGの選手の中では6位につける高い数字だ。また、テーブス選手は188cmとガードの選手としてはかなりサイズがあり、そのサイズを活かしてリバウンドも積極的に奪いに行っている。平均リバウンド3.8は河村選手を上回り、これは登録ポジションがPG、出場試合数が10試合以上の選手の中では1位の数字だ。リバウンドの確保はチームでしばしば課題となるポイントだけに、テーブス選手のリバウンドはチームを大いに助けている。


平均アシストは河村選手が8.5という凄まじい数字でリーダーズ1位に君臨しているが、テーブス選手の6.9も非常にハイレベルな数字だ。負傷欠場の影響で出場試合数が規定に達していないため、リーダーズ入りはしていないものの、試合数をクリアしていればリーダーズ4位相当。例年であれば1位を狙えるレベルである。

また、平均ターンオーバーはテーブス選手の方が少なく、PGとしての堅実さを測る指標であるアシスト/ターンオーバー比(AST/TO)はテーブス選手2.52に対して河村選手は2.60とほぼ互角。プレーメイクの面ではテーブス選手も河村選手に負けていないと言えるだろう。

シュートエリアと得点分布

次に両者のスタイルの違いを見るため、シュートの試投エリアと得点の分布を比較してみよう。

テーブス選手は全シュートの内44%をペイントエリア内から放っており、河村選手と比較して、ゴール付近からシュートを放つ割合がかなり多いことが分かる。強力なドライブでインサイドまで攻め込んでいく特徴が表れている。さらに、3Pの割合も43%で、ペイントエリア内とほぼ同等。ミドルシュート(ペイント外の2Pシュート)を減らし、ゴール付近か3Pを増やすという現代的な分布となっている。

対する河村選手は3Pシュートが全体の49%を占めており、ほぼ半分が3Pシュート。代表活動でホーバスHCの指導を受け、3Pの割合を増やしたことが如実にデータに表れている。ミドルシュートの割合も加味すると、テーブス選手よりもアウトサイドシュートが多い特徴があると言えるだろう。

得点については、シュートの試投分布とほぼ同様の分布となっているが、両選手共にフリースローでも一定の割合の得点を挙げていることが分かる。ドライブからファウルをもらってフリースローで得点ができる点は両者に共通していると言えそうだ。

アシストエリア分布

テーブス選手も河村選手もリーグでトップクラスのアシスト数を誇っているが、両選手のアシストはどのエリアからのシュートに対するものが多いのか、エリア別の分布を比較してみよう。

面白いことに、アシストエリアの分布はシュート試投エリアの分布とは逆の傾向となっており、河村選手のアシストの66%はペイントエリア内シュートへのアシストで、大部分がインサイドからのシュートへのアシストとなっている。3Pシュートへのアシストは19%に留まっているが、一方のテーブス選手は3Pシュートへのアシストが37%を占めている。

インサイドの選手への合わせのパスが多い河村選手と、ドライブからのキックアウトパスで3Pを演出するテーブス選手、といった特徴の違いが見えてくる。この違いは一緒にプレーしている選手のスタイルによる部分が大きいかもしれないが、両選手が味方のどういったシュートを演出しているのかに注目して見るのも面白いだろう。

アシストの受け手選手分布

最後に両選手がどの選手へのアシストを多く記録しているのか、その分布を円グラフで比較してみよう。

今季のレイクスは選手の入替えと負傷欠場が多かったため、その分テーブス選手のアシストが多くの選手に分散しているという事情はあるが、それを考慮してもテーブス選手の方が様々な選手に満遍なくアシストを出していると言えそうだ。テーブス選手は3Pシュートへのアシストの割合が大きいが、レイクスには3Pを得意とする選手が多く、それゆえに出し先の選手が分散しているのかもしれない。

対する河村選手はチャールズ・ジャクソン選手とのコンビプレーに定評があるが、やはりジャクソン選手へのアシストが非常に多く、割合では全体の3分の1に達する。トップ4の選手で80%を占めており、この点もテーブス選手とは対象的だ。ペイントエリア内のシュートへのアシストが多いだけに、インサイドの選手への比重が多くなっている。


なお、これはどちらの方が良いということではなく、あくまでも両選手の特徴を表すデータであるという点にご留意頂きたい。

日本バスケの未来を担う若手PG同士の対決に注目

両選手が残している数字の素晴らしさを見れば、テーブス選手も河村選手もBリーグトップクラスのPGであることに疑いの余地はないだろう。一方で、様々な分布データを比較することで、両選手にはそれぞれの特徴があることが見えてくる。スタイルの異なる両選手の激突はどんな名勝負を生むのか。週末の滋賀vs横浜BC戦に注目したい。


(文:データスタジアム株式会社 バスケットボールアナリスト 柳鳥亮)

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